なぜ妊娠中に薬を飲んではいけないのか

妊娠中に薬を飲んでしまって心配されるのは、薬によって奇形を作ってしまうことです。しかし実際は、ほとんどの薬においてその心配はありません。

おなかの赤ちゃんに奇形を作る作用のことを「催奇性」とか「催奇形性」といいます。また、赤ちゃんの発育や機能に悪い影響をすることを「胎児毒性」といいます。これらについては、薬が発売される前に動物実験で厳重なチェックがおこなわれます。抗がん剤など一部の薬を除き、催奇性が強い危険な薬が発売されることもありません。誰でも買える市販薬についてはなおさらです。

妊娠に気づかないで薬を飲んでいたとしても、多くの場合、心配するほどのことではありません。あまり悩まないで、念のため主治医か産婦人科医に相談なさってください。日常的な病気の薬、たとえばカゼ薬、頭痛薬、胃薬などを通常の範囲で使用されていたのでしたら、まず問題ないことでしょう。市販薬にも危険性の高い薬はありません

病院の薬には妊娠中に禁止されている薬(妊婦禁忌)がたくさんあります。ただし、危険度のレベルは、薬によりまちまちです。本当に危険度の高い薬は、これらのなかでもほんの一部です。また、服用量、服用時期によっても危険度が違ってきます。たまたま妊娠中に禁止される薬を飲んでしまったからといって、必ずしも危険性が高いわけではないのです。早まって妊娠中絶などと考えてはいけません。

もちろん、危険な薬はごく一部といっても、不必要な薬は飲まないに越したことはありません。妊娠の可能性のある女性で、とくに生理が遅れているときなど、薬の安易な使用は慎むべきです。妊娠をはやく知るには、やはり基礎体温をつける習慣が大切です。また、妊娠中に新たに病院にかかるときは、妊娠していることを必ず医師に伝えておいてください。



妊婦中の薬の危険度

■薬危険度

薬危険度は、薬そのものがもつ催奇形性作用、胎児毒性、あるいは妊婦に対する副作用などを意味します。危険度が高いと評価されるのは、ごく一部の薬だけです。その一方で、妊娠中でも絶対に安全といえる薬も少ないです。大部分の薬は、安全性が証明されているわけではないのですが、危険性は少ないと考えられています。

■使用時期

薬がおなかの赤ちゃんにおよぼす影響は、使用時期によって違います。催奇形のうえでもっとも心配なのは、赤ちゃんの形がつくられる妊娠初期です。妊娠後期では奇形の心配はなくなりますが、赤ちゃんの発育や機能に悪い影響をする胎児毒性が問題となってきます。

■使用期間

使用期間は、当然、短期間のほうが影響が少ないです。

■使用量

薬の危険度は使用量にも大きく依存します。一般的には使用量が多いほど危険度が高まります。その典型的な例としてビタミンAホルモン剤があげられます。ビタミンAは妊娠中にも必要なビタミンなのですが、薬として過剰に服用するとかえって奇形の発現率が高くなることが知られています。ですから、妊娠中に薬が必要な場合は安全性を考慮し必要最少量(最小有効量)とします。

■使用経路

薬は使用経路によって、口から飲む「内用薬」、注射器で体内に注入する「注射薬」、皮膚や粘膜に直接使用する「外用薬」に分かれます。内用薬と注射薬は、全身作用があるので妊娠中は慎重に用いるようにします。痛み止めの坐薬など一部の外用薬は全身作用があるので同様に注意が必要です。一方、かゆみ止めの塗り薬、痔の坐薬、目薬、点鼻薬、喘息の吸入薬など局所だけに作用する外用薬については、通常の範囲であれば妊娠中でも安全です。

■併用薬

てんかんの薬では、薬の種類が多くなると奇形の発現率が高くなることが知られています。このため、できたなら1種類の抗てんかん薬だけでコントロールするほうがよいとされます。てんかんに限らず、妊娠中はできるだけ薬の種類を少なくすることが基本です。

■漢方薬

漢方薬にも飲んではいけないものがいくつかあります。代表的なものでは桂枝茯苓丸桃核承気湯などの「お血」を下す薬。それから、便秘薬などによく使われる大黄が入っているもの。これらは催奇形性の問題ではなく、流産の恐れがあるからです。(大黄は市販の便秘薬にも入っています)
また、催奇形性の報告はありませんが、八味地黄丸に含まれる附子(トリカブト)など毒性の強いものもありますので、慎重になったほうがよいでしょう。
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by acure0038 | 2008-03-07 20:36 | 妊娠・出産
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